羅小黒戦記戦記(ロシャオヘイセンキ)の感想

 

 

まあとりあえず見るか悩んでる人向けの感想

かなり気楽に見られる作品だとは思うのでとりあえず見て欲しいです。自然の描写とか、猛スピードのアクションとか、注意深く見ていないと見逃してしまうような細かい動きとか、そういったことを劇場で楽しんでもらいたいなって思います。

PVとかキャラクターを見てほしいんですが、とにかく可愛くて、実際にしゃべったり動いているところを見るともっともっとかわいいし、セリフのやり取りとかコミカルな動きでずっと退屈せずに面白く見られる映画だなって思いました。

ストーリーは結構王道でシンプルなのでその意味でも見やすくて楽しい映画でした。

鬼滅とかヴァイオレットのついででもなんでもいいんで何卒よろしくお願いいたします…

この先ネタバレ有りの感想です

youtu.be

 

ストーリーに関して

シンプルかつ王道で楽しめたんですが、中国の映画であることを踏まえて、フーシーを少数民族に重ねて見てしまってちょっと割り切れないところもあるかなあと。まあこれ以上踏み込むと中国では作れないんだろうなあと思うけど。

 

背景美術に関して

何故かこの事が見始めてからずっと頭から離れないで注目し続けて見てしまいました。

もとが2Dアニメだったり中国の作品だったりしてまあ違うことはたくさんあると思うんですがまあ感じたこととして書いとこうかなと思います。

都会

都会の風景の描き方についてはPVの7秒くらいにチラッと見えるのが典型的なんですがで

・車が行き交っていることからもわかるように奥行きがある

・色鮮やか

・詳細まで描写されている

 

というふうに感じました。これは遠近法を使った近現代の写実系の絵画、もしくは現代のアニメ作品の一般的な手法なんじゃないかと思います。

 

自然界

一方で自然(≒妖精たちの住んでいる世界)の背景(例えばPVの最初の6秒くらい)を見て感じたのは

・平面的で、

・色合いの一体感があって

・余白のような箇所がある

・動物も多少デフォルメされたものとしている

という感じで、これは伝統的な日本の(東洋の?)絵画の特徴に近いものがあるなと感じながら見ちゃいました。たとえば下の鈴木其一の2作品とかどうでしょう。

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鈴木其一 群禽図

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鈴木其一筆 夏秋渓流図屏風

他にもここには貼れないけど石田武とか、東山魁夷とか、川合玉堂の「ゆく春」とか、例はたくさんあるんで見ていただければなあと思います。

 

結構こじつけみたいな部分もあるんですが、この視点で見ていくのは結構楽しくて、例えば自然に近い焼いた肉とか魚はすごいデフォルメされている一方で中華料理はすごいリアルだったりするのもそれに近いかなあと思っています。

あとこれは2Dアニメ出会ったときの名残かもしれないけど横向きに進むシーン(道路、電車、橋の上)も印象的で、そこには奥行きのある風景と平面的な物が写っていて自然と都市の境界のようなものを感じました。

見る機会があったら風景とかにも注目してもらえればと思ったりします。