ぼくは初めて剣を握ったんだ 隻狼 SEKIRO: SHADOWS DIE TWICEの感想とファンレターと布教

 隻狼クリアしました。一言で言うと本当に素晴らしかった。まだやることは残っているけどとりあえずの感想を書いていきたいと思います。

 

 真剣を握る感覚を味わえる

 皆さんは剣を握ったことあります?剣道とか居合でリアルで握ったことがある人はいるかもしれません。もっと範囲を拡張してアクションゲームで剣を握ったことがあったり、RPGで剣を装備したりした人となるとほぼ全員になるのではないでしょうか。

 それでも命を懸けて真剣を握ったことがある人はいないはずです。そんな真剣の体験ができるのが隻狼だと思います。

 戦国時代、主人公は熟練の忍として剣をふるうのがこのゲーム。最初はその振るい方が全く分からない状態から始まり、進めていくほどに相手の信じがたいほど速く、美しい動きに呼応し、対応できるようになってきた時の興奮はたまりません。

 攻撃ボタンを2回押すべきところを3回押してしまって致命的な隙を生んでしまった、そんな瞬間の「死んだ…」という感覚、相手を倒した時の凄まじい達成感と相手の命を奪うことに対する一抹の寂しさと責任。そんな真剣の感覚が一気に押し寄せるのがこのゲームです。

長らくゲームをしてきたし、剣を握った気になっていたけど、本当に剣で戦うというのはこういうことなんだと感じました。

 

とはいえ主人公は侍ではなく忍、汚い手をどんどん探せ

真剣を使うとはいえ真っ向から戦うだけが芸ではないところもまた楽しいポイントのひとつ。中ボスクラスの敵でも後ろに忍び寄って大ダメージを与え、相手のHPを半分にして開始するのは常套手段で、そのほかにも物陰からものを投げて敵をおびき寄せて不意打ちで倒す。敵に向かい合ってからも隙の大きい技を探し出してその攻撃の時だけチクチク攻撃する、嵌められたりしないかいろいろ試す。そんな侍だったら見苦しいと思われるような行為も忍だからこそできるムーブ。悪だくみをいろいろできるのは楽しい(半分以上は敵の想像以上の動きに潰されて唖然とするんだけど)。

 

死ぬことはゲームオーバーではない

このゲームについて少しでも知ってる人なら、はいはい回生の話ね。って思ったかもしれないけど違うんですよ。確かに一度体力がなくなって「死」の文字が画面に出てきても(大抵は)その場で一度生き返ることができる回生というシステムはある。でも今回伝えたいのは、それだけじゃなくて回生できなくなって死んでセーブポイントとしてもそれはゲームオーバーではないと思うってこと。

このゲームは幾たびも死ぬ、本当に死ぬ、これまでのゲームの流れは、

 

死→ゲームオーバー→ゲーム外(タイトル画面)に飛ばされる→ゲーム内に戻る。

 

という流れが一般的であり、ゲーム外に飛ばされるゲームオーバーは物語の中では起こりえない異常な出来事のような印象を受けます。一方で隻狼は、

 

死(回生可能)→回生→死(回生不能)→ゲーム内に戻される。

 

という流れになっている。死んでもタイトルに飛ばされたりしないゲームもたくさんある。それでも隻狼では回生を挟むことで死がゲーム内、ないしは物語内に組み込まれていることが強く意識できる。このゲームにおける死はゲームオーバーではないといえる。

 隻狼の死はクリアのために必要な流れの一部分であり、何度も死んで少しずつ敵の倒し方を確立していくことを求められる。だから死ぬのは恥でも間違ってもない。ガンガン死のう。そしてプレイングの反省点がわかりやすいし次に活かしたくなるようになっているのも大きな特徴だと思います。他の人の感想をちょっと見ているときに出ていた「PDCAを回すゲーム」という表現は秀逸だなと思いました。このゲームにおけるゲームオーバーはプレイヤーの心が折れたときだと思います。正直ほぼ折れたときもあったけど、倒し方を必死に探る感覚が楽しすぎてぜってえ攻略サイトなんか見ねえって意地にさせられたし、何度でも挑みたくなる魅力がすごいゲームでした。

 

 

細かい不満

・死んだ際のペナルティである龍咳の仕様がわからなかった。

放置するとNPCが死ぬとかあるのかどうか結局よくわからなくて何度もチャレンジすることが躊躇われた。(僕の場合死ぬことはなかったのでガンガン死んでも大きな問題はなさそう)

・鬼仏で休んだら回生の回数満タンになっても良くない?

ボス戦やり直すときに集めるのが作業になってちょっとめんどくさかった(一番苦戦したラスボス戦でしか感じなかったけど)

・形代の値上げ、というか買うシステムはいるのか?

忍具とか特技いろいろ試す楽しみもあるのでためらわずガンガン試せるようにする工夫は必要だったように思います。金稼ぎも辛くはないけど退屈ではありました。

本当に些細な不満で、ゲーム進行に差し障るようなことはほぼなかったと思います。

 

総評

間違いなく一番死んだゲームになったけど、つかみ取れる感覚は唯一無二だし、倒すまでの過程が何よりも楽しい。戦っている最中の緊張感とワクワク感をこんな方法で表現できるんだなという感動があった。ゲーマーならば是非触って味わって欲しい。僕にとってオールタイムベストのゲームを挙げるならば間違いなく候補となる1本だと思います。難しいけど詰みにくいような工夫は随所に見られるし気軽に手を出してほしいと思います。