外道も外道のはずなのに中身は王道神話アイドルアニメ--ゾンビランドサガ感想

ゾンビランドサガを見終わったままの勢いで感想を書いていきたいと思います。まずはあらすじから。

主人公は不慮の事故で死んだ源さくら。何だか知らないけどゾンビとして生き返った彼女たち7人は佐賀を救うアイドルとして立ち上がった!

…いやマジでこんなストーリーなんですよ。

魅力を紹介していきたいと思います。

・ゾンビという設定の活かし方がほんとに巧い

ハチャメチャな話だけど大体は「ゾンビだから…」という伝家の宝刀で何とかなっていて、ゾンビものと聞いた瞬間に思いつくようなあるあるな展開もあって楽しめる作品になっています。でもゾンビという設定に頼るわけでなく、物語への組み込み方が本当に巧い。メンバーの生前と死後という明確な区別があることで、本人達だけでなく残された人たちの変化や物語に注目できるようになっています。

おちゃらけた内容にするためのゾンビかと思って見始めましたがそれだけじゃない緻密な計算のもとに成り立っていて驚かされました。

・メンバーのアイドル観を楽しめるし考えさせられる。

主人公以外でよみがえったゾンビたちは、伝説の平成アイドル、伝説の昭和アイドル、伝説の天才子役、伝説の花魁、伝説の暴走族特攻隊長、伝説の山田たえ。まあここもツッコミどころが多々あるけど置いておいて、とにかくあらゆる時代から伝説の存在を呼び寄せてグループFG〇もびっくりのグループになっています。そんな多様なメンバーと組み合わせの魅力をうまく引き出して見せてくれる。一番印象的だったのは、平成と昭和のアイドルの違いを見せてくれた回。ファンとのふれあいなんて考えられないし、プライベートも隠すのが当たり前という昭和のアイドル。それに対してファンとの距離がぐっと近づいた活動をする平成のアイドル。その価値観の対立を考えられるのはこんな作品だからこそだと思います。それに加えていろんな問題に対して簡単に結論を出さず対話に時間をかけているのもこの作品の特徴だと思います。あえて王道から大きく離れたアイドルものだからこそ、ゾンビものだからこそできる内容でした。元はアイドルでなかったメンバーのアイドルとの向き合い方もとっても興味深くて楽しめるしグッときます。特に終盤の主人公に関してのエピソードは多くの人に刺さる上に応援したくなる伝説的なシーンなのでほんとに見て欲しい。

・巽幸太郎

謎多きマネージャー巽幸太郎。テンションのぶっ壊れたやべえやつなんだけどそれを置いておけば駆け出し無名のアイドルの彼女たちにどんどん仕事を持ってくる超有能。実際に味わって欲しいから詳しくは書かないですが、11話終盤の彼のセリフはホントにかっこいい。そこからの12話でのほんのワンシーンでさらに味わいが増すし、もう1度1話から全部見たくなってしまう。笑いもシリアスもアイドルもプロデュースできる彼はホントに魅力的なキャラです。

 

・まとめ 

声出して笑った場面がたくさんありながら、悩みとの向き合い方もとても真剣で素敵な作品でした。惜しむらくは1クールだけなこと。もっといろいろ見たいことだらけだよ…。ともあれ話数が少なく見やすくなっているのは確かなのでオススメです。