小説版HUMAN LOST感想

前提として太宰治の『人間失格』はだいぶ前に1回か2回読んだ程度、冲方さんの作品は割と読んでいて、著者の作品は初めてという感じ。ネタバレはあんまなし!

 

・描写が丁寧!助かる!

かなり詳細まで説明してくれるので映像が目に浮かぶ感じで非常に読みやすかった。冲方さんの小説いろいろぶっ飛ばして進むときがあるからそこは丁寧でよかったかなと思う。

・テンポはいい。けど…

圧倒的な速度で物語が進み、テーマも一貫しているので楽しみやすい内容になっている。逆にもっと尺を持たせたい内容も多かったと思う(ヒロインの葛藤とか主人公の内面とかそれだけで一冊ずつ欲しいくらい)

・『人間失格』である必要はあったのか

そもそもって話がどうしても気になったんだよね。ところどころに人間失格を思い出させる要素は入ってくるものの、かなり形だけ借りている感じで、太宰治の要素とか詳細にまで踏み込んで比較できたりするようなものではなかったように思った。とりあえずどこまでが人間なのかというテーマで考えるのも一つのテーマかなとは思った。原作の存在がむしろなんか足かせになってる気はするんだよねえ。制作の背景は知らないけどどういう経緯なんでしょう?

・「失格」と「合格」のテーマが現代にも原作のテーマにも微妙な感じ

長寿であることで人間として「合格」するという話なわけですが現代の人そこまで長寿であること求めているかっていうとクエスチョンマークがありますね。未来の話じゃなく作品の設定通り昭和111年ならあるいは…って感じですかねえ。

 

ダークヒーローなのか??とか戦闘は冲方さんの超次元文章で読みたかったとか色々感じる部分はあったけど基本的には面白い物語でした。映画はまたどんな感じに仕上がるか楽しみです。