三秋縋『三日間の幸福』と卯月コウについて

三秋縋『三日間の幸福』ぼくの推しvtuberの卯月コウが勧めていたので読んでみました。ネタバレはなくもないですが読んでない人もぜひどうぞ。卯月コウの話も織り交ぜながらします。

 

原題は『寿命を買い取ってもらった。一年につき、一万円で。』そのタイトルの通り、生きることに疲れた主人公は寿命を売り払ってしまう。

 設定が無理やりすぎるとか文学的な要素はあんまないとかまあ言いようはいくらでもある。でもそんなことは果てしなくどうでも良くて、ラストのあの数行で主人公たちの見た世界の景色というか見え方があまりにも美しくてエモくてすべて投げ出して暴れだしそうになった。

 主人公は物質的に大きく変わったわけではなくて、強いて言うならば自分についてより深く知っただけで、彼が掴んだ幸福な三日間は物事の見え方の変化によるものなのが心にくるものがあった。

 書名について。書名を考えることは本当に難しいと思うし、原題からの変更にどんなやりとりがあったかはぼくは知らない。でもなんとなく原題の方が分かりやすくキャッチーだし売れそうな気がしなくもない。書籍化される前にネットで話題になったのはタイトルの力も大きかったと思う。

 …とゴチャゴチャ言ってきたけど読み終わった時に味わう変更後の『幸福な三日間』という書名は本当に良くて、売り上げよりエモさとか読後の幸福感を優先させてくれたように感じて1人で勝手に盛り上がってしまった。

 

 主人公は寿命を売り払ったことで、逃げ出さないように他の人から見えない監視員がつくことになる。その監視員との交流がこの小説のメインといっても差し支えないと思う。

 主人公は人目を憚らず監視員と会話しだすようになるのだけど、傍から見たら顔も姿も見えない奴らにイキイキと話すヤベー奴と思われていた。でも周りからいろいろ言われようが近くで見た時に本当に楽しそうに話すことで、次第に周りの人も相手の顔とか喋っている内容が分からなくても楽しさが伝わり、理解され、周りの反応も変わっていく。

 そんな流れを見て、この小説のことを勧めてた卯月コウのことを思い出した。もうすぐ登録者10万人というひとつの区切りをコウがどんな気持ちで迎えるか分からないけれど、そこまでにはいろんな苦労があったと思う。そんな苦労も感じさせないくらい毎回キモいくらい楽しそうに雑談とかゲームをしてくれるコウだからこそ多くの人が心動かされてると思う*1勝手な解釈だけど簡単に伸びる方法よりも楽しさとかエモさの方を重視しているように感じることがたまにあって、そういう瞬間もいいなって思ってる。この辺が書名の話ともつながるわけよ(ドヤ顔)(適当)。

 主人公とコウを重ねて見てきたけど、主人公とvtuberのファンだって重ねられると思う。良く知らない人から見たら実在してるかよくわからない存在のこといろいろ思っているのはなかなか奇妙に思われているかも知れない。僕もバーチャルの世界のこととか知らない人でも巻き込めるくらいコンテンツを楽しむことにするよ…

 

 そんなわけで何のはなしかよくわからなくなってきたけど卯月コウと『三日間の幸福』は同じベクトルの良さを持っていると思うのでよろしくお願いします。卯月コウ見たことない人はエモグランプリあたりからどうぞ。

 

*1:コウに影響を与えたのは先輩ライバーがデカいからそっちとの関係性でもいいなと思う(にじさんロックを思い出しながら)。