DEATH STRANDINGをクリアしたので一緒に読んで欲しい小説を紹介する。

 今話題のゲーム、デス・ストランディング(デススト)。週末ずっとやり続けてクリアした。デスストは世界をつなげる、死後の世界、親子、悲劇の後の世界…かなりたくさんの要素が織り込まれている物語やゲームシステムだった。そこでプレイしながら連想した小説を紹介したい。感想も色々あるのでまたほかの記事で書きたい。小島監督についてはあまり詳しくないので読んでいる本などは知らない状態で書いている。

 

安部公房の諸作品

 デススト冒頭に安部公房の短編『なわ』(未読)からの引用が出てくる。彼の描いている世界は現代でも全く古びることなく問題点を照らし出している。さらに短編であっても現実離れした世界へも一瞬で誘われてしまうリアリティのあるクリアで明快な文章です。この辺りはデスストも似た雰囲気があると思います。「難解そう…」とか心配をせずにトライしてみて欲しい。

 

飛浩隆『海の指』

 世界の陸地が「海の指」と呼ばれる未知の存在によって変わり果てた姿に作り替えられ、残されたわずかな陸地にわずかな人が生きている世界の物語。絶望的だがそれに対応して生きる人と世界の描き方があまりにも美しい一作。

 

ケンリュウ『紙の動物園』

 彼の短編小説には様々な設定の世界が出てくるが、大まかな設定だけでなく、そこに生きている人の行動とか考え方の細部まで丁寧に描いているのが大きな特徴だと思う。そして描かれる世界は滅びゆく世界みたいなのも多く、デスストに近いものがあると思う。縄の結び方から思わぬ方向に進んでいく『結縄』などもある。

 

コニーウィリス『航路』

 死後の世界がどのようになっているのかを描く長編小説。こういう話題だと似非科学であったりスピリチュアルに寄ってしまいがちなところをフィクションとは思えないくらい科学的な立場から書いているところが見どころのひとつ。そして展開も見事としか言いようがない。長さを感じさせないくらい夢中で読める。作者はエンタメ小説の超大御所であり、疑いようのない実力があるので他の作品もどうぞ。

 

テッドチャン『あなたの人生の物語

 『メッセージ』として映画化もされた超名作。未知の生命体との対話がテーマの物語。親子の描き方とか、設定は全く違うけど雰囲気はすごく近いものを感じた。

 

上田岳弘『私の恋人』

 芥川賞も受賞した今を時めく作家の代表作であるこの作品は、ぱっと見恋愛小説だけどかなり壮大な話になっている。

 アフリカから出発した人類が世界を覆いつくした「1周目」の人類の旅。様々な国が支配しようと侵略しあい、原爆によって終結した「2周目」の旅。インターネットによって共感により世界がつながろうとしている「3週目」の旅。このそれぞれの旅の世代を超えた恋愛を描いた物語になっている。今回挙げた中だと難解な方に入るけどこの話に出てきた概念はかなり斬新で面白い小説だと思う。

 

 

 

 他にもいろいろなイメージが想起されてとても楽しいゲーム体験だった。デスストをスタートとしていろんな物語を「つないで」楽しんでいくとどんどん面白くなっていくと思う。