好きなものは好きなんだよ!--『君の名前で僕を呼んで』の感想とか
遅ればせながら『君の名前で僕を呼んで』を見ました。
まず初めに言っておくと、この映画は男同士の恋愛ものだ。
でもちょっと待って、あまり色眼鏡で見ないでほしい。
この映画は男性同士に限らない、というよりも人との関係に限らない、
好きなものと接する時に大切なことを語ってくれる作品だと思う。そんな視点で少し書いてみたいと思う。
…でもその前に、
好きなシーンを語っていくコーナー!!
ドンドンパフパフ~!!いやあ一つ一つのシーンが心に染みるいいシーンがたくさんあるんですよね。
公園での告白
ポスターとかの雰囲気から何となく内容を想像してはいたものの、事前情報ほぼない状態で見に行ったので、この二人の関係は一体どうなるんだっていうのがよくわかってなくて、果たしてどうなっていくのかドキドキしながら見てた。相当な覚悟で気持ちを伝えようとしながらも、思いっきり踏み込むことはやっぱりできなくて、みたいな恐れとともにじりじり進む、告白というよりもっとシンプルに気持ちを伝えるって感じが初々しくて素敵でたまんないよ。
終盤のすべて
ひと夏の物語のおわりに描かれるシーンのすべてが愛おしい。愛する人を見送る駅のホーム。車での帰り道のいつまでも続くような砂利道…そしてそのすぐあとの冬…暖炉を前に泣きじゃくる顔を見ているだけでいくらでも時間が過ぎていく。全体を通してみてもエリオの俳優ほんとにすごい。繊細で不安定な年頃を完璧に表現していて心をくすぐられる。
他にも素敵なシーンてんこ盛りだけどいちいち話すと映画を見るより長い時間がかかるのでぜひ見てください(直球)。さて本題、
好きなものとの接し方を教えてくれる作品
時代が進んでも何かと障害の多い同性愛ですがそんなある種の困難を通して好きなものとの向き合い方についてたくさんのことを教えてもらったような気がする。
好きであることを肯定すること
何を当たり前のことをと思われるかもしれないけども世間の目とかついつい気にしてしまって「自分は(男or女)だし…」「この年で…」とか思うことは心当たりがあるのでは。そんな思いをぶっ壊して「好きなもんは好きなんだよ!」って力強く伝え合う2人はとってもすがすがしくて尊い。
周囲の理解
一つ目の内容にもかかるけどなんだかんだ言って周りの人の理解ってとっても大事。
この映画だと信じられないほど両親の理解がある。ラストシーン周辺のお母さんが車で送っていくシーンとお父さんが慰めるシーンは特に素敵。
これを見て恵まれてていいよな!!って嫉妬するんじゃなくて、まずは周りの人の好きなことに対するよき理解者になれるようにしたいですね。一緒に頑張りましょう。
関係を言葉で語れる教養
何となく嫌な感じがする、何となく気持ち悪い。そんな言葉で人の好きなことや時には自分の好きなことを封じ込めようとする感情が時々出て来ようとする。
本当に好きでいいのかモヤモヤしているときに記事とかツイッターを見て他の人がどう好きなのかを明確に言語化しているのを見るとハッとすることがよくある。「好き」というものの正体をつかむのは実は結構難しいことだと思っているんだけど、それはとても強力で重要な能力だ。そしてそれを助けるものを一言で表すならば「教養」ナノではないかと思う。今回の映画だとオリヴァーとお父さんの言葉によってどれだけエリオが前に進むことができたことか。
まとめ
気がついたら推しのカップルが出てきて喜怒哀楽起承転結見たいものをなんでも見せてくれてあっという間に終わってしまうひと夏の物語。演出的に劇場で見た方がいいって類の作品でもないので、DVDとか動画サービスとか何でもいいんで機会があったら是非見てください。