冲方さんの原点が垣間見られた『黒い季節』

皆さん冲方さんの作品で好きな小説は何ですか????(唐突)

冲方丁脚本の一押しアニメファフナーへの思いはまた今度語ることにして、まだまだ読んことがない作品も多いぼくですが小説の中でイチオシは『天地明察』です。『光圀伝』も捨てがたいけど。『天地明察』を中学とか高校で読んでいれば数学もう少し好きになれたのになって思う人たくさんいるんじゃないかなと思ってます。数学に苦手意識持っている人にこそオススメ。数式は出てこないんだけど、悩んで答えを出すことへの快感を与えてくれる素敵な小説です。

 

さて今回読んだ『黒い季節』のお話。冲方さんのデビュー作ですね。なんとなんと執筆時18歳!ぼくのそのころなんてなんも考えずに生きてました。恐ろしい話だ。

内容はいろんな意味で若さを感じさせるものになってるなという感じです。ヤクザのっ用語を含めて厨二といっても差し支えのないような言葉遣い!ついていけないようなテンポ!…と挙げたけどどっちも今でも見られる特徴ですね…でもそれが顕著です。言い換えれば彼の作品の源泉がここにあるといえると思います。

いろんなカップルが出てくるのも特徴ですね。破滅に向かおうとするもの、自分の居場所を探すもの、相手の居場所を作ろうともがくもの、などなどいろんな人たちの組み合わせがあって深い…18歳の作品にこんなに振り回されるとは…ちなみに僕の推しは藤堂とさやですかね。というか藤堂がかなり好き!男女とかそういう概念を超えた恋愛ものは健在です。

 

天地明察』の暦、『マルドゥックスクランブル』シリーズなどなどを語るときに欠かせない超次元アクション、すべてに共通する「痛み」と「存在」に関する問いかけ…今も昔も変わらない冲方さんの作品群のテーマの源泉を覗けた一冊でした。