ぼくの美術の楽しみ方。つながる知識と妄想

今日こんなツイートを見ました

 

 このポスターを見て真っ先に思い浮かべたのはこのポスターでした。

f:id:kikuchiy1107:20181218214325j:plain

1964東京オリンピックポスター ディレクター・村越襄、撮影・早崎治、全体デザイン亀倉雄策

言うのも野暮な感じがしますが、このあまりにも有名なポスターを意識していることは確かなように思います。まあそんな感じで連想ゲームがスタートしました。全体デザインの亀倉雄策さんのほかの作品を見ていたら、こんな作品を見つけました。

f:id:kikuchiy1107:20181218221127j:plain

亀倉雄策 ヒロシマ・アピールズ展ポスター

この作品は広島での原爆の記憶をとどめるための企画でのポスターとして作られました。それを踏まえてみると焼け落ちていく蝶たちの意味合いもはっきりしてきてとても印象的な作品になっていると思います。

さて、この炎と昆虫から何か連想するものはありますか?私はこの作品です。

f:id:kikuchiy1107:20181218222450j:plain

速水御舟 粧蛾舞戯

炎の中を飛ぶ蛾たちを描いた日本画の巨匠速水御舟の代表作のひとつ。ひとつ前のポスターの美しい炎と虫というイメージが類似していますね。一方で燃え落ちていくのと飛び上がっていくようなイメージや蝶と蛾という対比も存在してますね。

明るい火を目指して進んでいる蛾たちと、その目指していたはずの火に焼かれてしまった蝶たちは、正しいと信じて進んできた技術と人が産み出した皮肉を感じさせる…とかいうのはただの妄想ですが、いろいろ考えるきっかけになって楽しい。

さて最後はおまけのような連想ゲーム。速水御舟の炎と蛾といえば有名な作品がもう一つ。

f:id:kikuchiy1107:20181218230042j:plain

速水御舟 炎舞

炎舞です。重要文化財にもなっている速水御舟のというだけでなく日本の近代絵画の代表作ともいえるこの作品。さてこの作品を見て文学ファンなら思い出すものがあるのではないでしょうか?

f:id:kikuchiy1107:20181218231052j:plain

三島由紀夫 『金閣寺』 新潮文庫

新潮文庫三島由紀夫金閣寺』の表紙っすね。美術館で流れている映像で炎舞を見た瞬間にピンときました。これまでの歴史で幾度となく、数えきれないほどに描かれてきたはずの炎という題材であっても一目見ただけでわかってしまう。類似性を楽しんできたこの記事の話の流れから考えると少し奇妙に感じるかもしれません。しかし一方で似た題材であっても製作者の個性を感じられる、感じさせてくれるのも芸術の魅力だと思っています。

歴史であったり他のいろんなことを吸収してきたからこそ楽しめることがたくさんあるのでみんな美術館とか博物館とか行こうな(結論)