『薩摩義士伝』の感想を皇牙サキ引退に寄せて
今月末でvtuber活動を終了する皇牙サキさん。好きなvだったので寂しい気持ちもあります。
でもそんな事を言っていても始まらないので初配信でオススメしていて話題になった漫画『薩摩義士伝』の感想を書きながらサキさんのことにも触れていこうかなと思います。
舞台は江戸時代。幕府は薩摩藩に木曽川・長良川・揖斐川の治水工事を命じます。当然のごとく費用も人員も薩摩藩が持たなくてはいけません。今の日本では考えられないようなこの仕打ちに血の気の盛んな薩摩人は倒幕に向けた戦を呼びかける声も上がります。この漫画はそんな困難に見舞われながらも後に宝暦治水と呼ばれる工事を完遂した薩摩義士たちの物語です。様々な武士、役人の立場から描かれるオムニバス形式になっています。
この作品の感想を一言で表すと「歴史を知るの面白い!」でした。
例えば「各藩の力を弱めるために参勤交代を行った」みたいな話は歴史の教科書でなんとなく聞いたけど、この話のような例を聞くと、弱めるっていう言葉だけじゃわからない幕府の圧力とか力の強さが伝わってくるように思います。
あと、この時代の(薩摩)人の価値観もとても興味深いものでした。第9話『濃尾入国』でのエピソードでは、やっとのことで工事する濃尾に入った晩、地元のおじいちゃんが訪ねてきます。そのおじいさんは「長年苦しめられてきた水害に対する治水工事をよそ者が適当にやられても困る(要約)」と訴えだしますそれに対して薩摩武士は精一杯やる所存だと答えるが、おじいさんはなおも疑い、証拠を見せろといいます。それに対して「ここにいる誰もが命をかける覚悟がある」と返し、おじいさんはその場にいた薩摩人の若者1人を選んで大鎌を首に突き立てる…。という話の流れで結末は読んでほしいんですが、命をかけるの意味がもう本当に文字通りだし、鎌を突き立てられた若者も死を前にしても落ち着いているしで現代の人とは全く違った価値観、死生観を感じることができる作品だとおもいます。このような違いと対比することで、今も昔も変わらない人情や価値のあるものを見つけることができるようにも思います。
教科書では簡単な言葉でまとめられていた歴史の出来事の実情を知る、現代との違いを痛感する、この漫画で描かれているエピソードがどこまで本当なのか確かめる…。歴史についてもっと深く知りたくなる作品だと思いました。なんかこんな感想を書いていると堅苦しい漫画みたいに聞こえますがオムニバス形式なのもあり空いた時間に読める作品でした。
で、サキさんの話。様々なジャンルの幅広い話が聞けて他のvtuberとは違った魅力がありました。多くのことを知ってるのっていいことだし楽しいことだなあってひしひしと感じさせられました。様々な作品のプレゼン、なんか現実とは思えない白昼夢のような復活祭イベント、クリスマスのダイハード同時視聴、圧倒的だった学力テスト、信長の野望…様々な思い出をありがとうございました。たくさんの思い出が多くの人の歴史に刻まれたと思います。
サキさんの活動と『薩摩義士伝』の読み放題は今月いっぱいまで!