美術館に行くということ

緒言

 どこまで続くかわからないけどブログゆるゆる書こうと思いました。よろしくお願いします。

 さて、新しい人間関係の中で過ごすこの春は何度も自己紹介をすることになりました。そのたびに「趣味は読書と美術館、博物館に行くことです」っていう感じのことを大抵言うのですが、ありふれた趣味だと思っていながらもいろんな反応を頂きます。

 読書についてはまた別の機会について語ることにしますのでそれまでブログが続いていることを祈っていてください。待ちきれない方は又吉直樹さんの『夜を乗り越える』を読んでみてください。とっても優しく楽しく文学の魅力を伝えてくれる素敵な本になっています。(アフィリンクなどはありません)

本題

 ようやく本題の美術館、博物館に行くことについてです。「珍しいね」「意外だね」って言われることが多いです。確かに僕は全然美術が得意ではなく、おしゃれでもないのであまり美術館にいるようなタイプではなく縁の遠いものだと思っていました。そんな僕が美術館に行き始めたのは大学3年くらいからでした。当然美術の知識もないので(今もそんなにないのですが)「何となく話題になってるしいくかあ」みたいなミーハーな感じで行き始めたのがきっかけだったと思います。そんな僕がだんだん美術館、博物館にハマっていった理由を何点かに分けてまとめてみました。

0.前準備がいらない

 展示はだいたいの場合知識がほとんどないまま行っても大丈夫なように説明とか順番に工夫が凝らされているので、あまり準備したり悩まずに行っても大丈夫だということが大きいと思います。思い立った時に行けて実はとても気軽に行ける場所なんですよ。

1.生の作品は違う

 「美術作品って言っても今の時代ネットとか本で見られるじゃんそんなのにお金払う??」とか思う方もいるしそれはそれで正しいところもあるんだけど、実際に見るのはなんだかんだ違うんですよ。わかりやすいところで言うと、

 

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これは去年平日の昼間にもかかわらず混雑していた新美術館で見たミュシャのスラヴ叙事詩の『スラヴ賛歌』ですがそのサイズは480*406 cmですよ!でかい!説明不要!こんなの印刷できないのでこの絵の細かいところまで見たいと思うにしても、雄大さを感じるにしても実際に見に行くしかないんですよ。

 サイズの話で言うと今年のゴールデンウィークに行った東京国立博物館の「名作誕生」(ほんと素晴らしかったから行って!5/27まで!)から菱川師宣「見返美人図」

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は歴史の教科書とかに出てきて何となく知ってたわけですがこれは意外と小さくて、女性は40 cm四方に収まりそうなくらいのサイズだったんです。それでもじっくり見ると着物の鮮やかさとか女性の艶やかさがこれでもかってくらい凝縮されてるなって感じました。

 サイズだけじゃなくて厚く塗られた油絵の勢いとか細かい点描とか見る角度による色とか印象の変化とか実際に行ってみるとわかることもあるんですよ。

2.いろんな表現方法や考え方に出会うことができる

 SNSでもできるとか思うかもしれないけどフォローしてる人ってなんだかんだ偏りがちなので、時には目をそむけたくなったりさっぱりわからないと思うような様々な表現に出会う場所は本当に貴重だと思います。いろんな作品を展示の文脈に沿って見ていくことでどんな人から影響を受けて、どんなところが新しいのかを知ることができるという面もあると思います。天才といわれている芸術家でもいろんな世の中とか人との関係の中で自分の作風を確立させているようなことがたくさんあります。この経験は何かを創作したり企画したいと思っているひとに大きな助けとなると思います。

3.何気ない日常を生きるのが楽しくなる。

 これが僕にとっては一番大きい理由かもしれないですが、何気なく見ている景色の中に前見た絵画の色を見出したり、彫刻で見たシルエットを見つけて嬉しくなるような瞬間が何度もあります。物事をエピソードで覚える僕にとってその風景と作品の両方が深く記憶されてきました。

 何気ない景色であっても作品を見た後なら楽しく見えることということもあります。例えば身近だけど嫌われ者のカラスくんも河鍋暁斎の手にかかれば、

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見事な作品に(『枯木寒鴉図』)。暁斎は何作もカラスの絵を描いていてそれはどれもどこか愛くるしくて、どこか気高い。暁斎の作品を見た後にはカラスの見え方も全然違って見えてくる。昔見た作品でも、ほかの作品を見たり、いろんな経験をしていくことで見え方も変化していく。そんな変化を味わえる、許容できるような変わらない美しさ、尊さを持った作品にしばしば出会うこともあるんです。

 

おわりに

長い文章書きなれてないくせに長々と書いてしまいましたが皆さんが美術館に行くきっかけになればとか大それたことを思ってます。ブログってどういう文体で書いていけばいいかよくわかんないすね。